2014年6月22日日曜日

タナトラジャ(2014年6月7日〜14日)①


Tana Toraja
ーー
滞在期間:2014/06/07-14
アクセス:Makassarから、バスで8時間 (Metro Bus, IDR125,000)
ーー

 ベトナムからマレーシアを経由し、インドネシアに戻りました。到着地はスラウェシ島マカッサル。マカッサルからはその日の夜のバスでタナトラジャへ向かいます。

 自分がトラジャという人々を知ったのは、たしか学部1年生のときでした。どうも大層なお葬式をするらしい、ほ~、と当時はその程度の認識でしたが、それから文化人類学へ進み、やはり派手な儀礼というものは経験として見てみたいなと思うようになります。そしていまやインドネシアで自由の身、これは行くしかない!ということで旅行後半のハイライトとしてタナトラジャを選びました。

 タナトラジャは区分でいうとKabupaten、県のようなものです。タナトラジャ市があるわけではありません。観光の拠点になるのはランテパオRantepao、そこから南北それぞれに有名な岩窟墓や伝統家屋の保存されている集落が広がっています。
 ランテパオに到着したのは朝6時すぎ、バスをおりるとすぐガイドやバイクタクシーの運転手が集まってきます。ホテルまで行きチェックインすると、今日もお葬式があるからさっそく行かないかと持ちかけられます。飛行機からの夜行バスで疲れているものの、そのお葬式が最終日だというので興味に負けて参加してきました。

 タナトラジャは伝統文化の残る「桃源郷」だとか「秘境」として紹介されることが多いのですが、これがまた大層有名な秘境です。観光客が訪れ始めたのは1970年初めごろから、そして1980年代後半には観光産業がピークに達したといいます。なのでバス会社だって何社もあって、ホテルもたくさんあって、岩窟墓があればObjek Wisata(観光スポット)としっかり看板が立っています。ガイドも多く、英語はもちろんのこと、フランス語、スペイン語、イタリア語まで使いこなす人もいるという充実ぶりです。お墓は個人で見に行きましたが、お葬式は失礼があると良くないと思いガイドを頼みました(本当はタバコ1カートンを手みやげに参加、というのをやってみたかった)。乗り物の手配も込みで1日2000円~3000円、こちらとしてはかなり大きい出費です。

 「秘境」を求めていくとこのコマーシャリズムにはげんなりするものと思います。しかしお葬式の最中、伝統衣装を着た子供達とカーネルサンダースみたいなおじさんが和気あいあいと写真を撮っていたりするので、なかなかに面白いものがありました。観光資源化に加えて、キリスト教との折衷具合も面白かったりします。wikipediaにはいささか感情的なこんな一文があります。
「今やトラジャは帽子を被りデニムのジーンズを履いたキリスト教徒の村となり、トンコナンや葬送の 儀式にも商売臭さが感じられるようになってしまい、旅行者に不満や失望を感じさせるものに成 り下がってしまった。」
 しかし自分のみたところ、タナトラジャはバティックシャツにテンガロンハットをかぶったおっさんがMa' Badongというダンスを踊って死者を悼む、そしてそれを熱心に撮るポーランド人がいたりする、ますますもって不可思議きわまるところでした。トラジャ研究をしていた山下先生の関心が観光に移っていったのも、納得できる気がします。

 それと、風景がとても美しい。



0 件のコメント:

コメントを投稿